二丁目に転がる覚え書

語感の良さと ちょっとの思想

ギリシャ人、デブ、コーラ、ウーロン茶

先日、中華料理でも、と思い、妻と近所の中華料理屋へ行った。

極悪非道な辛さのタンメンや、半ばインフレ状態の油量に、胃と繊細な私のハートがやられ、「今すぐ私にウーロン茶を!リメンバー・パール・ハーバー!」とわけのわからないことを叫びながら近くのスーパーへ駆け込んだ。

脂汗をぶちかましながら所望の茶を手に取り、レジに並ぶと、先に並んでいる客がいた。

先に並んでいたのは“1000年前のギリシャ人の一般的な長髪”といった、ウネウネしたパーマ風情の男で、体重はゆうに80000000kgはあろうかという巨漢だった。

偏見だが、私は“体格は食べる量に比例する”と思い込んでいたので、そのギリシャデブが持つ買い物カゴの中には、豚肉やら油物やらスナック菓子等がハートフルに搭載されていることであるな、と勝手に思い込んでいた。

しかし、そのダビデ像のような髪型の男(デブデ像)の手には、500mlペットボトルが2本しか格納されていなかった。

良く見ると、片手にはウーロン茶、もう片方にはコーラ。

なぜにウーロン茶とコーラ?

酒でもないのに、リキッド&リキッドなのですか?

デブデ様のショッピング内容に違和感を覚えながらも、自分のレジを済ませ、店の外に出た。

すると、偶然にも、そのギリシャデブデパーマが友達(こちらはタヒチ系のデブ)と話してる声が聞こえてきた。


デブデ「やっぱウーロン茶だよね~」

と。

体重を気にしているのは彼の風貌から気の毒なくらいに見て取れるが、そなたのもう片方の手に握り締められているコーラはいったい何ですか?

もしかしてアレですか。

良質なウーロン茶の生産で有名な、某飲料メーカーのテレビCMで、食後の血糖値を気にした中年男性が黒いラベルの350mlペットボトルを手に持ち、

「食べる前に、飲む!」

というのがあった。

恐らく、彼はウーロン茶を流し込んだあと、間もなくコーラを流し込むだろう。

「飲む前に、飲む!」

ということなのだろう。

同じようなジャンルとしては、飲み会の前にウコンのエキスを身体に摂取し、翌日の朝に備えようとする振る舞い(俗に言う“ドーピング”)があるが、たった500mlコーラ1本のために、それと同等の量のウーロン茶を事前に飲んで備えるなんて、もはやデブ界の達人の領域に入っているだろう。

ここで一つの疑問が浮上した。

では、彼は油物を食べる前には一体何を事前に摂取するんだろうか。

スリムドカンか?下剤か?

スリムドカンつったって、彼の身体はもう“土管”のサイズを超えている。

すごく気にかかるが、謎は謎のままにしておこう。

ウーロン茶ほどの戦闘能力で中華料理の副作用を誤魔化そうとしている自分が恥ずかしくなった梅雨の空だった


〈今日の覚言〉
そもそも、コーラを飲む前にウーロン茶を飲んでも意味ないと思う。